今年何かと話題を集めている坂本龍馬についての論考です。
世の中が不景気になったり変革を待望する世相となるのがこの人物です。
ベンチャー企業の社長さんや若者、女性にもファンが多いのが特徴です。
坂本龍馬の人気の由来はその先駆的な思想とそれを実現させた行動力
にあると思います。
それでは、ドラマの脚色などを抜きにして歴史学的に坂本龍馬を捉えた場合
どのような人物像が浮かび上がってくるのでしょうか
まず彼の政治思想ですが、彼は倒幕を目指していたわけではなく将軍を中心とした
合議制で政策を決定する現代の国会制度を作ろうとしていたようです。(船中八策より)
坂本龍馬の功績として大政奉還の実現や薩長連合の仲介がありますがこれら一連の
政治活動の結果は坂本龍馬の企図した方向とは別の倒幕運動という革命的色彩を
帯びていきます。
坂本龍馬の功績を支えたものは彼の巧みな交渉術です。歴史にもしはありませんが
アメリカ大使ハリスとの交渉に彼が当たっていたら不平等条約の締結はありえなかった
でしょう。
根回しや当時の身分制度に頼らず自身の能力のみで新しき時代のグランドデザインを描き
そしてそれを見事に近世日本に具現化した坂本龍馬。歴史学的視点で彼を評価すれば
彼は単なるエージェントだという冷めた見方もありますが、江戸時代から近代へと時代が変換
するにはどうしても坂本龍馬は必要でした。時代に愛された坂本龍馬ですが、130年以上の
時を越えた現代でもその生き方と思想は多くの人々の指針となっています。
エムディスク広報 山岸